ぎっくり腰はある日突然発症するもので、誰もが発症する可能性のある症状です。基本的には突然腰が痛くなるとぎっくり腰が疑われますが、実は内臓系の疾患を患っているかもしれません。尿路結石や急性腎盂腎炎の症状のひとつとして腰痛があり、内臓の疾患による腰の痛みが出ている可能性が考えられます。この記事では、ぎっくり腰の原因や対処法、腰痛の症状が現れる内臓の疾患について詳しくご紹介します。
ぎっくり腰とは?
ぎっくり腰は、突然ズキッと強い痛みに襲われて動けなくなるような腰のトラブルのことを言います。正式には急性腰痛と呼ばれ、重いものを持ったときや体をひねったときなどに起こりやすいとされています。ほとんどの場合、腰まわりの筋肉や関節、靭帯などに急な負荷がかかって痛みが出るものですが、原因がはっきりしないことも少なくありません。動くのもつらいような強い痛みが出るため、発症したら無理をせずに安静にすることが大切です。
ぎっくり腰になる原因は?
ぎっくり腰は、明確な原因はハッキリしていませんが、実は日々の生活習慣が積み重なった結果として起こることがほとんどです。原因のひとつは、急な動きによって腰の筋肉や靭帯、関節に大きな負荷がかかってしまうこと。たとえば、重い荷物を持ち上げたとき、ふいに体をひねったとき、あるいはくしゃみをしただけでも発症することがあります。
しかし、こうした動作の背景には、運動不足や筋力の低下、長時間のデスクワークなどによる姿勢のクセ、ストレスや睡眠不足による筋肉の緊張など、さまざまな要因が関わっています。つまり、ぎっくり腰は突然のように見えて、実はいつ起きてもおかしくなかった状態だったともいえるのです。日ごろから体をこまめに動かして腰まわりの筋肉をケアしておくことが、ぎっくり腰の予防につながります。
ぎっくり腰になった時の対処法は?
ぎっくり腰になってしまったときは、まずは無理をしないことが何よりも大切です。急な痛みで不安になるかもしれませんが、あわてず、ゆっくりと対処していくことで回復につながります。ここでは、痛みが出たときに自宅でできる対処法を4つご紹介します。
楽に感じる姿勢で落ち着くのを待つ
まずは、無理に動かずに、少しでも痛みが軽くなる姿勢を探してみましょう。たとえば、仰向けになって膝を立てたり、横向きで背中を丸めたりすると、腰の緊張がやわらぎやすくなります。痛みがあると焦ってしまいがちですが、無理をして動くと、かえって悪化してしまうこともあります。呼吸をゆっくり整えて、落ち着ける姿勢でしばらく安静に過ごしましょう。体が楽だと感じる姿勢を見つけるのがポイントです。
患部を冷やす
ぎっくり腰の痛みが出たばかりの頃は、腰に炎症が起きていることが多いため、まずは冷やすことで痛みを和らげられることがあります。保冷剤や冷たいタオルを使って痛みのある部分に15〜20分ほど当ててみましょう。冷やしすぎは逆効果になることもあるので、感覚がなくなるほど冷やさないように気をつけてください。冷やすことで腫れや熱感が落ち着いてきたら、その後は少しずつ体を温めていくと回復が早まります。
入浴で体を温める
痛みが少し落ち着いてきたら、ぬるめのお湯にゆっくり浸かって体を温めるのもおすすめです。筋肉がほぐれて血流がよくなることで、回復を助ける効果が期待できます。ただし、ぎっくり腰になってすぐのタイミングでは、炎症を悪化させてしまうことがあるため注意が必要です。発症から1〜2日ほど経って、熱感や腫れが落ち着いてきた頃が入浴の目安です。無理に長湯せず、気持ちよく感じる範囲で入るようにしましょう。
少しずつ動いていく
痛みが和らいできたら、少しずつ日常の動作を再開していきましょう。ずっと寝たままだと筋力が落ちたり、回復が遅れてしまうこともあります。とはいえ、普通に動こうとするのではなく、まずはゆっくり立ち上がったり、短時間の歩行から始めるのがポイントです。体を温めてから動くと、筋肉がこわばりにくくなります。痛みが強くならない範囲で、できそうなことから少しずつ自分のペースで始めていきましょう。
ぎっくり腰だと思ったその腰痛、実は内臓の疾患かも?
「急に腰痛を発症したからぎっくり腰だ」と思っていても、なかには内臓系の疾患を発症している可能性があります。ぎっくり腰を発症したと思った際は、念のため、次の疾患を発症していないかチェックしておきましょう。不安に感じた場合は迷わず病院などに相談してください。腰痛を引き起こす内臓の疾患を6つご紹介します。
尿路結石
尿路結石は、尿の通り道である腎臓から膀胱の間で石ができて詰まってしまう病気です。結石が動くことで、激しい痛みを感じるのが特徴で、その痛みは腰のあたりやわき腹、背中にまで広がることも。腰の痛みといっても、実際はこの尿路が痛んでいるために起こるものです。突然の激しい痛みや血尿、吐き気をともなう場合もあり、ぎっくり腰と間違われることがあります。痛みが強い場合は、すぐに病院に相談しましょう。
急性腎盂腎炎
急性腎盂腎炎は、腎臓の中にある腎盂(じんう)という部分に細菌が感染して起こる病気です。尿道や膀胱から入り込んだ菌が、尿管をさかのぼって腎臓にまで到達することで発症します。発熱とともに腰や背中がズキズキ痛むのが特徴で、女性に多くみられます。放っておくと症状が悪化して重症化することもあるため、早めの対処がとても大切です。抗菌薬を使えば、回復が見込める疾患です。
腎梗塞
腎梗塞とは、腎臓に向かう血管が血のかたまり(血栓)で詰まってしまい、腎臓に血液が届かなくなる疾患です。突然、片側の背中や腰に強い痛みが走ることが多く、血尿や高血圧などをともなうこともあります。尿路結石や腎盂腎炎と症状が似ているため、あわせて注意が必要です。原因の多くは心臓から流れてきた血栓なので、心臓に病気がある方は特に注意しましょう。
腎臓がん
腎臓がんは、初期にはほとんど症状がないことが多いですが、進行すると腰や背中に鈍くてじわじわとした痛みを感じるようになることがあります。この腰痛は、安静にしていても続くのが特徴で、血尿が出たり、倦怠感が続いたりすることも。がんによって腎臓の周囲が圧迫されることで、痛みが生じると考えられています。腰痛を感じたら、またはいつもと違う痛みや症状を感じたらすぐに病院に相談してください。
急性胃炎・胃十二指腸潰瘍
急性胃炎や胃・十二指腸潰瘍は、お腹の不調というイメージが強いかもしれませんが、痛みが背中や左の脇腹あたりに出ることもあります。動作や姿勢に関係なく痛みが続き、食事のタイミングによって強くなるのが特徴です。たとえば食後すぐの痛みなら胃の上の方、空腹時の痛みなら胃の下や十二指腸にトラブルがあるサインかもしれません。胃酸を抑えるお薬で良くなることが多いですが、痛みが続くようなら詳しい検査が必要です。
急性膵炎
急性膵炎は、膵臓という消化を助ける臓器に炎症が起こる病気です。原因は、お酒の飲みすぎや胆石などが多く、症状としては、みぞおちの奥から背中にかけての強い痛みが現れます。特に、仰向けで寝ると痛みが増し、膝を抱えるように丸くなると少し楽になるという特徴があります。痛みは何時間も続くことがあり、重症化するケースも。油っこいものを食べたあとや、お酒を飲んだあとに強い腹痛や背中の痛みが出たら、すぐに病院に相談しましょう。
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